一番は実家に付き合って2年経つ千凪を連れて行ったところ、親に結婚の話題を振られたことをきっかけにプロポーズをして受け入れられるが、翌朝千凪にあらためて断られる。実はアロマンティック・アセクシャルだからと。一番のことを人としては好きだが恋愛感情は持たない千凪とそれを受け入れようとするが受け入れられない一番の関係の話。 長く恋人として付き合っていて結婚しようと思っている人に実はアロマンティックで、、と言われたらどう感じるか、自分には想像すら難しい状況だが、実際にそういう状況にあったらこう感じるのかもしれないというのを一番を通して感じさせられた。また自分にとっては、「男らしさ」を要求する父親と一番の関係性についても、小さい頃から男だから/女だからこうあれという規範に反発心を覚えてきた自分にとっては感じさせるものがあった。 人にとってはやや重めと思うかもしれないテーマを題材とした小説だが話はとても読みやすく面白い。最後はあまりにうまいこと収まりすぎて自分としてはちょっと都合良すぎないかと思ってしまうところもあったが、そのあたりの感じ方まで含めて読んでみて自分がどう思うか試してみてもいい小説だと思う。